最近読んだ本でっせ、パート23。
このところ、歴史に関心のある人に会ったりしているため、久しぶりに読み返してみる。
いやー、面白いなんてもんじゃない。
興味深い題材を、宮崎市定先生がとんでもなく素晴らしい本に仕上げています。
下記にザックリと内容や感想を書いているけど、実際にこちらの本を読むと楽しめるし勉強になること請け合いなので、ぜひぜひ読んでみて欲しいですね。
清という征服王朝の3代目、武力で抑えられているとは言え、ケタ違いの人口である被征服者の漢民族は心中に不満を抱えている。
更に、独裁制の行き着く先は、皇帝とそれ以外に差はなく、官僚は皇帝の統治の代行者に過ぎないはずなのだが、実際は官僚が権力を振るい、その権利を守るために徒党を組んでしまっている。
こういった情勢に対し、雍正帝が取った方策は、「硃批諭旨」という皇帝と官僚との手紙のやり取り。
公式の書類とは別に、官僚が雍正帝に手紙を送り、それに対して雍正帝自ら赤ペンを入れて送り返していくというもの。
雍正帝は清帝国において最も信頼のおける「満州八旗」をスパイとして官僚のもとに派遣しており、官僚が虚偽の内容を報告していた場合、お見通しだと叱責し、反省を促すか酷い場合はクビにする。
これにより、表面上や公の史料で良いとされていた人物や政治が、「実は…」ということもあって、この硃批諭旨は当時を知るための史料としての価値も物凄く高い。
生い立ちや社会情勢など様々な要因があるけど、使命感を持ってこれだけ真摯に政治に向き合った独裁者というのは稀だろう。
実際、当時の中国の朝は早かったのだが、雍正帝は毎夜毎夜欠かさずにこの手紙のやり取りをしていたらしい。
こんな、物語の様な人物・エピソード、そりゃ興味深い訳だ。
康熙帝・乾隆帝が派手なこともあり、雍正帝の名前は隠れてしまい易いけど、清帝国の基盤は雍正帝がつくったと言っても過言ではない。
今の時代、独裁制は脊髄反射で悪いことと反応してしまいがちだが、突き詰めればこれほどのことができる。
もちろん、こんなことができる様な人物は、まずいないだろうけど…